「弘法筆を選ばず」とはいいますが、自分の思いの通り動いてくれる筆に出会えたら、ストレスフリーで作品制作がぐんぐん進みます。 水彩絵具やアクリル絵具、カラーインクといった、お水に溶ける色材に使う水彩筆は、水含みの良さ、コントロールのしやすさが求められます。
馬毛、イタチ毛、羊毛など、いろいろな毛で作られている水彩筆ですが、その中でも「リス」と「コリンスキーセーブル」の毛を使った水彩筆は、その点から見て抜群の能力を持っています。
やわらかく、ふわふわとしていて、抜群の保水力でふんわり色を置いていくときに使いたい「リス毛」の水彩筆。
水含みが良く、コシがある為、細やかな描画や筆の動きをコントロールできる「コリンスキーセーブル」の水彩筆。
中でも、世界屈指の筆メーカー・ラファエル社のブルーリス毛水彩筆と、コリンスキーセーブル毛の水彩筆は、プロも愛用するハイクォリティーの水彩筆です。
そんな筆メーカーの名門ラファエル社が開発した進化系ナイロン水彩筆はご存知でしょうか。 リス毛のイミテーション「超軟質シンセティックブラシ(人工毛筆)」を使用した水彩筆「ソフトアクア」と、 コリンスキーのイミテーション「超細密シンセティックブラシ(人工毛筆)」を使用した水彩筆「プレシジョン」
の二種類です。
当店でもお馴染みの水彩筆ではありますが、天然筆がなかなか手に入らない今だからこそ、改めてご紹介できればと思い、今回はスタッフによる「ソフトアクア」体験レポを書いてみました。ご購入時の参考にしていただければ幸いです。
羽菅タイプの見た目が素敵
見た目からの話になって恐縮ですが、羽菅タイプのつくりがリス毛水彩筆の魅力の一つといっても過言ではないと個人的に思っております。リス毛のイミテーションの水彩筆として、羽菅デザインも引き継いでいるところがとても素敵だなと思いました。マットブラックな持ち手の色も高級感があります。
画面をよく見る水彩画だからこそ、手元で目に映る筆の見た目も素敵だとテンションがあがります。
リス毛に負けない水含みの良さ
ナイロン=水含みが良くない、という定説は、画材業界のナイロン毛筆の進化が著しい昨今においては崩れつつありますが、ソフトアクアは水に入れた瞬間、ぶわっと膨らみ「絵具の含みが2倍」のメーカーさんの文言は、確かに!と感じました。一般的ナイロン筆と比較しても一目瞭然ですね。 従来のナイロン毛とは異なり「超軟質シンセティックブラシ」は波状になっている為、水含みが良いのだそうです。
じゅわっと筆から絵具がにじみ出るところからも、水含みの良さを感じていただけるのではないでしょうか。
やわらかく繊細なリスと、どっしりと安心感のあるソフトアクア(ともに水含みが良い)
ブルーリスとソフトアクアを使い比べてみました。
ブルーリスは、塗っていてもまるで紙に触れていないみたいに軽く、ふわふわとした羽根のようです。たっぷりと絵具を含むので水切れせず、毛先のまとまりもいいので、細い線から広い面を塗るまで使えます。
ほんとうにやわらかいので、筆がペタッとヘタるのですが、それもうまく付き合えば良い形になりますし、それを凌駕するほど水含み、使い心地が良いです。
ソフトアクアは、ブルーリスにくらべると、どっしりと重たいような印象があります。毛の密度があり、紙に触れている感触もしっかりあるので、ブルーリスに比べるとコントロールしやすいような気がしました。その固さ(といっても一般ナイロン毛に比べて十二分にやわらかいのですが)の印象に反してリス毛同様、たっぷりと絵具を含むので、そのギャップに感動します。
また、天然毛はキューティクルが傷みやすく、慎重にきちんと手入れをする必要があります。その点、ナイロン毛であるソフトアクアの方が耐久性があり、コスパも良いように感じます。
高級リス毛水彩筆でアクリル絵具を塗りたくても、アクリル樹脂で筆が痛むのが目に見えているので躊躇しますが、その点はソフトアクアを重宝しそうです。
アクリル絵具をお水多めで、水彩絵の具やインクのように使われる方は、ソフトアクアも良いかと思います。
ソフトアクアは羽菅の丸筆タイプの他に、丸筆タイプ、平筆タイプもあります。背景や広い面積を塗るときにこの水含みの良さはとても良いですね。グラデーションもしやすかったです。 プレシジョンの方も平筆があるのですが、広い面積を塗るときは、ソフトアクアの方が向いていそうです。
そしてなんといっても、そのお値段の差。ソフトアクアはリス毛に負けず劣らず水含みが良いのに、ブルーリスの約半分のお値段。(例:ブルーリス6号…定価9,900円、ソフトアクア6号…定価5,962円)
ちなみに、動画で使用しているソフトアクアは2号なので定価2,882円です。50号とか大きいサイズではなく、F4やA4などの絵を描かれる方は、2号でも十分力になってくれると思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
水彩筆の王様とも呼べるような、リス毛水彩筆とコリンスキー水彩筆はなかなか手に入れることが難しくなり、価格もそれに合わせて徐々に高騰してきています。
けれど、それに対応するように各ブランドが天然毛に負けず劣らずの進化系ナイロン水彩筆が次々開発されています。
今回は、フランスの筆メーカーの名門・ラファエル社のリス毛のイミテーション水彩筆「ソフトアクア」の体験レビューを描きました。ナイロン水彩筆の進化を少しでも感じていただけたら幸いです。
店舗の他、弊社通販サイト「画材販売. jp」でもお取り扱いがございます。
よろしければご利用ください。
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