固形墨のような、顔彩のような形をした真っ黒な「墨運堂 絵墨」 絵墨とは、顔彩や固形の透明水彩絵の具のように、水を含ませた筆でなぞり色を溶かしだして使用する書画材です。書などの文字の他、絵手紙や、イラストの着彩画材としても使われています。
今回はそんな味わい深い色が楽しめる絵墨を体験してみました。
【味わい深い墨の色はグラデーション幅が広い】
パッケージの表示がなければ青系なのか緑系なのかは分からないくらい、見た目は真っ黒で、白い角型のケースに1色ずつ入っています。 水を含ませた筆で溶かしだして紙に塗ってみると、深みのあるダークトーンカラーが現れます。
絵墨はお水の量によって色の出方の変化が顕著です。お水を多くすると明度が上がり、色味がはっきりしていくのですが、更にお水を加えていっても、味が薄くなるのではなく、薄い色でありつつも透明感のある綺麗な墨色になります。
顔料濃度の高い水彩絵具がお水の量によってグラデーション幅を広くもてるのと同じように、絵墨も色のグラデーション幅が広いのが魅力です。 また、セット毎に色のトーンが揃っているので、6色でまとまりのある作品が描けます。 水彩絵の具12色セットなどで描くと、混色しているうちに画面の色のトーンがバラバラになっていきがちですが、絵墨は難しく考えずとも、自然と画面のトーンが揃うのも魅力ですね。
【水墨画の魅力をより気軽に楽しめる画材】
お水で濡らした紙面に色をたらしてにじませ、じわじわと広がった先の色も、薄墨色としてしっかりと存在します。 墨の濃淡やほのかな色の味わい深さを持つ水墨画の表現を思い浮かべると、納得の「墨らしさ」を持った画材だなと思いました。 また、水墨画用の墨よりも色合いがはっきりしており、固形水彩絵具の形をしている絵墨は、より気軽に楽しめる画材だと思います。
にじませかたによっても、表情がいろいろです。
「絵墨E07紫系」と「絵墨E06青系」は、お水の量や紙によっては、分離色のような表情が出ます。
【マスキングインクも使えます】
マスキングインクで描いた上に絵墨で色を塗ってみましたが、被膜が伸びるようなこともなく問題なく使えました。
色を濃く溶くと艶々した質感や、ガッシュのような粉っぽい質感もあるので、マスキングを剥がすときは、周りをゴシゴシせずにマスキング個所のみ触れるように丁寧に剥がすと良いかもしれません。
【より濃厚で鮮やかな色合い 絵墨”明”】
絵墨シリーズには、絵墨”明”と、絵墨”淡”というシリーズもあります。 絵の具は、黒を混ぜると彩度が下がるものです。 けれど絵墨”明”シリーズは、ダークトーンでありながらより鮮やかで強い色合いをしています。混色ではなかなかこの鮮やかなダークトーンを作り出すのは難しいです。
【仄暗さを秘めたかわいらしさ 絵墨”淡”】
墨運堂さんの『淡い彩度の中に仄暗さを感じさせる儚げな色彩の世界』というキャッチコピーの通り、甘いパステルカラーではなく、すこし仄暗さを感じるライトグレイッシュカラーのセットです。こちらもまた、混色では再現しにくいニュアンスカラー。
”絵墨 淡”は白を含む不透明色なので、絵墨の上に乗せても色が見えます。 重ねて描くのも面白そうですね。
【まとめ】
・絵墨は、水を含ませた筆でなぞり溶かしだして使う水溶性の書画材 ・顔彩や固形水彩絵具のような手軽さがありながら、墨らしい色の深み、表現ができる
・1色あたりの濃墨色から薄墨色までの色幅が広い
・混色では作れないような深みのあるダークトーン、グレイッシュカラー
・絵墨、絵墨”明”、絵墨”淡”それぞれでトーンが整っているので、各セット毎に描けば、作品画面のトーンが自然と揃う
・にじみ、ぼかし、マスキングといった水彩技法も使える
固形水彩絵の具や顔彩ともまた異なる墨色の奥深い楽しさ。 ぜひ絵墨を試してみてください。 墨運堂 絵墨、絵墨”明”、絵墨”淡”は店頭在庫品です。 また、弊社通販サイト・画材販売.jpでもお取り扱いしておりますので、よろしければご利用ください。
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