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ターナーU-35アクリリックスの特徴【スタッフも試してみました】


スタッフが試したU-35アクリル絵具

ターナー色彩「U-35アクリリックス」 次世代アーティストたちの表現力を支えるべく、ハイクオリティでありながらコストパフォーマンスの良いアクリル絵具として誕生した日本製の新しいアクリル絵具。 スタッフも実際に試して、その特徴や魅力について深堀してみました。



【目次】




【1. アクリル絵具とアクリルガッシュ絵具の違い】


アクリル絵具を買い求めようと売り場の棚を見ると、アクリル絵具(アクリリックカラー)とアクリルガッシュと区分されて並んでいます。 アクリル絵具、アクリルガッシュ絵具は、どちらも「アクリル樹脂+顔料」を主体として作られている絵具ですが、少し違いがあります。


どちらも、アクリル樹脂を糊分とした絵具であり、水に溶いて使うことができますが、乾くと耐水性になるという特徴があります。 水分量を増やすことで水彩画風に描くことも、盛り上げたり油彩画のように描くこともできます。また、紙の他にも、キャンバスや木や石などにも描くことができるという使い勝手の良さも魅力の絵具です。

アクリル絵具とアクリルガッシュの性質の違いは、含まれているアクリル樹脂の量の違いによるものです。



■アクリル絵具 ・絵具の中のアクリル樹脂の量が多く、透明感やツヤのある画面になります。 ・下の色を活かすように描いていくことができます。 ・アクリル樹脂の量が多い為、定着力や耐水性力、画面の強度がガッシュよりも高くなります。

■アクリルガッシュ絵具 ・絵具の中のアクリル樹脂の量が少なく、不透明でツヤのない画面になります。 ・下の色をどんどん塗り隠すように描いていくことができます。 ・アクリル樹脂の量が少ない為、定着力や耐水性力、画面の強度が少し弱くなります。



ターナー アクリルガッシュの並ぶ棚
ターナー アクリルガッシュ




棚に並ぶU-35商品
オレンジが印象的なU-35パッケージデザイン

今回使ってみる、U-35アクリリックカラーは、アクリルガッシュではなく、アクリル樹脂の多いアクリル絵具の方です。透明感とツヤがあり、定着力が強いです。




実際に、U-35アクリリックス基本12色セットを使って、 色を混ぜる「混色」と、色を重ねる「重色」とをキャンバスと紙に描いてみました。

キャンバス:U-35混色
キャンバス:混色

キャンバス:U-35重色
キャンバス:重色

紙:U-35重色と混色
紙:重色と混色

それを踏まえて、U-35の特徴を「透明性」「発色」「混色した時の濁りにくさ」「価格の安さ」から見ていきます。




【2. 「U-35アクリリックス」の特徴① 透明性】


U-35での重色表現


アクリル絵具は、ツヤがあり下の色を活かして重ねるように描くことができるという特性があります。

U-35アクリリックスはその中でも特に「透明性」が強く感じられました。 乾いて耐水となった画面の上に、透明感のあるレイヤーを重ねていくような描き方をしたときに、とても活きてくるのではないでしょうか。



透明なカラーレイヤーが重なるような表情:U-35
透明なカラーレイヤーが重なるような表情に


アクリル絵具は、ツヤがあり下の色を活かして重ねるように描くことができるという特性があります。  U-35アクリリックスはその中でも特に「透明性」が強く感じられます。乾いて耐水となった画面の上に、透明感のあるレイヤーを重ねていくような描き方をしたときに、とても活きてくる絵具ではないでしょうか。
同じ色もくっきりとしたエッジがつきつつ重なった部分は濃くなる


紙:重色(U-35)
紙:透明性のある色が下の色を活かした表現に

水彩絵具と異なり、アクリル絵具は乾くと耐水性になる為、下の色を引っ張らずに重ねていくことができます。よりクッキリとした透明レイヤー的表現が可能です。



重色:U-35アクリル
キャンバス:透明性のある色が下の色を活かした表現に




透明性が強すぎて、戸惑うほどの「ウルトラマリンバイオレット」

透明性の強いウルトラマリンバイオレット
薄めたのではなく、元々この透明色カラー

12色セットの中に入っている「ウルトラマリンバイオレット」は、一瞬戸惑うほどの「透明性」があります。こちらの写真は、水で薄めたりせず、チューブからそのまま出した状態で塗っており、その状態でもこのような透明色カラーです。



U-35ウルトラマリンバイオレットで混色した色一覧

濃い色をメディウムや水で透明度を上げたり色合いを薄めることに慣れていた為、最初は戸惑ってしまいましたが、この色は、混色した時に力を発揮するように感じました。

実際に黄色や黄緑色などと混色した時に、その透明性から絶妙なニュアンスカラーができます。

濃い紫を単色で使いたい時は、キナクリドンマゼンタとコバルトブルーヒューを混ぜて作るなどして、紫を混色用として使いたい時は、このウルトラマリンバイオレットが絶妙な加減で便利だなと感じました。 U-35は単一顔料の色が多い為、混色して紫色を作っても彩度が低くなり過ぎませんが、混色した紫を更に混色するとやはり彩度は下がりますので、このように使い分けてもよいかもしれません。


「透明色」「半透明色」「不透明色」の判定は、メーカー毎の基準によるものですので、実際に自分で触ってみて、透明度合を判断するのが良いかと思います。






【3. 「U-35アクリリックス」の特徴② 発色】


U-35アクリリックス重色表

写真だとうまく伝わらないのですが、U-35アクリリックス12色セットを塗ってみると、色の強さを感じます。(ウルトラマリンバイオレットだけは色が弱く(薄く)感じますが、これは単色づかいでは無く混色用の特殊色として考えれば別格かと思います)



U-35アクリリックスハンザイエローオペーク

特に紙に描いた時に発色の強さを感じました。 12色セットに入っている「ハンザイエローオペーク」は半透明色ですが、とにかく濃くてしっかりと発色して綺麗でした。





【4. 「U-35アクリリックス」の特徴③ 混色した時の濁りにくさ】


U-35アクリリックス混色表

U-35アクリリックスは、全81色中66色に単一顔料を使用しています。 単一顔料とは、絵具1色を作るのに使用する顔料が一種類ということです。単一顔料の絵具の良さは、混色した時に濁りにくいという点です。

混色した紫の顔料の数

例えば、赤と青の絵の具を混ぜて紫色を作りたいと考えた時、 「2つの顔料を使って作られた赤」と「3つの顔料を使って作られた青」を混ぜると、「5つの顔料が合わさってできた紫色」ができます。 これは、「単一顔料の赤と青を混色して2つの顔料が合わさってできた紫色」よりもグレーに近い濁った色になります。 例えば、大容量タイプの安い赤いペンキと青いペンキを混ぜて紫色を作ろうとしたらグレーができあがった、というような場合の理由はここにあります。



重色の紫と混色の紫

色を重ねて見える紫色も透明性があり綺麗ですが、混色で作られた紫も濁りの少ないきれいな紫色ができます。 さきほどのウルトラマリンバイオレットが混色用として便利な点は、ウルトラマリンバイオレットが単一顔料の紫であるために、より濁りにくいという点もあります。





【5. 「U-35アクリリックス」の特徴④ 価格の安さ】 


U-35アクリリックス価格表

ターナーU-35アクリリックスは、11mlチューブは1本定価143円(税込)です。高品質の専門家用アクリル絵具の中でも、より価格帯が抑えられたラインナップになっています。 絵具の消費量の多いアクリル絵具において、この価格帯はとてもコストパフォーマンスが良いいと思います。




パレットはペーパーパレットがオススメ

アクリル絵具がくっついたパレット

アクリル絵具全般に言えることではありますが、特にU-35アクリリックスは乾くのが早く定着力が強いように感じます。

30分程度使っただけですが、パレットへの色の定着が早かったです。こちらはポリプロピレン製のパレットなので、プラスチック製よりはアクリル絵具の除去がしやすいはずですが、軽く水洗いした程度では落ちないほどに、なかなか頑固にくっつきました。 こうなると洗うのが大変なので、使い捨てのペーパーパレットが片付けも楽でオススメです。





アクリル絵具の掃除に便利な「アプト」

アプトを使って固まったアクリル絵具をそうじ
アプトを使って固まったアクリル絵具をそうじ

先ほどのように水では洗い流せないほど定着してしまったアクリル絵具は、パレットにアプトをなじませてしばらく置いた後、水で洗い流すと落ちます。




絵具汚れの片付け用にアプト

パレットや机などについてしまったアクリル絵具の掃除には、APT(アプト)が便利です。

※アプトを使用する場合は、端などで問題が無いか試してからお使いください。




【6. まとめ】

いかがでしたでしょうか。 透明性が高く、混色した時も濁りにくく、高発色でありながらも価格帯は安いというコストパフォーマンスも良いアクリル絵具・U-35アクリリックス。

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